長く付き合っている彼氏がいるのに、なぜか他の男性に心が惹かれてしまう。そんな感情の揺れに戸惑い、「私って最低なのかな」と罪悪感を抱えている20代女性は少なくありません。
しかし、「好きになる」という感情は、本来、自分でコントロールして生まれるものではありません。これは、あなたが不誠実なのではなく、新しい刺激を求める人間の本能や、心身が健康であることの証でもあります。
恋愛の倫理観に縛られる前に、まずは心の中で起きている「情」と「恋心」の違いを整理し、自分の本音を見つめ直すことが、後悔のない未来を選ぶための第一歩です。この揺れを「感情の自然な変化」として受け止め、冷静に次の選択肢を整理しましょう。
彼氏がいるのに心が揺れるのはなぜ?
パートナーがいるのに他の人が気になるのは、人間の脳の特性や、長期的な関係における自然な変化が大きく関わっています。
1. 人間は新しい刺激を求める生き物である
人間には、そもそも浮気性の素質があり、飽き性であるため、とにかく刺激を求める傾向があります。脳科学の観点から見ても、脳は好奇心旺盛で新しいもの好きであり、相手のことを知り尽くすと興味を失う性質があるとされています。これは、世間でいう「恋の賞味期限は3年」といわれる理由にもつながっており、新しい発見や学びがなくなると、喜び物質であるドーパミンが出にくくなるためです。
2. 出会いの機会が増えている
現代社会では、男性も女性も社会での活動が許されているため、出会いのチャンスが溢れています。すれ違う交差点が増えれば増えるほど、交通事故(ここでは感情の揺れ)の発生確率は上がるのと同じです。
3. タイミングによって心が揺れる
浮気が起こる確率は常に変化しており、今の恋人に飽きていたり、仕事で疲れていたり、嫌なことがあったりするなど、心が弱っているタイミングで突然やってきます。一番慰めてほしい時にふと優しい声をかけてくれる人がいたら、心が揺れることは起こり得るのです。
4. 女性としての本能や自信の獲得
魅力的な男性からのアプローチに、思わず心が揺れてしまうのは、女性の本能的な感情とも言えます。男性に求められることは、女性にとって喜びであり、女性としての自信を与えてくれるものです。自分に自信が持てないコンプレックスがある場合、女性の本能を満足させる男性が現れると、ふらっと目移りをしてしまう可能性もあります。また、他の人に目移りをしてしまうのは、本能に忠実で、自分にとって本当に運命の人が誰かを見極めるために「男性を見る目を肥やしている時期」である、という意見もあります。
「好き」と「情」の違いを整理する
長く付き合っている彼との関係で感じる心地よさが、「情」なのか「恋心」なのか見分けることは、次の行動を決める上で重要です。「好き」と「情」は似ているようで、その成り立ちや性質は大きく異なります。
「好き」(恋心)の性質
「好き」は、胸の高鳴りや憧れを伴う「恋心」であり、出会いの初期に強く表れる感情です。刺激や情熱を重視し、基本的に「もう一度やり直したい」といった未来を求める気持ちである「未練」と結びつきやすい傾向があります。
「情」(愛着)の性質
一方で「情」は、時間や経験を通じて育まれる感情で、信頼感や安心感、思いやりを与える温かな気持ちを指します。ときめきは薄れるものの、義理や優しさに近く、過去や積み重ねた時間を重視する気持ちです。恋愛関係が長く続くことで、初期の高揚感は落ち着き、安心感や信頼感といった「家族としての愛情」へと形を変えていくのは自然な変化であり、この深い信頼関係が「情」の基礎となります。
情があることで別れを迷う心理
「情があるから別れられない」と悩む人は多いですが、その背景には「相手を傷つけたくないという優しさ」や「共に過ごした時間の重み」「責任感や罪悪感」といった要素があります。情は優しさの表れですが、情だけで関係を続けると、後悔につながる可能性もあります。
他の人を気になる時のサインと心理
彼氏がいるのに他の人を好きになるという感情は、自分で制御できない「どうしようもなかったこと」として捉え、自分を責める必要はありません。
感情の自然さを受け入れる
人を好きになるのは心身ともに健康な証拠であり、恋人がいても、テレビに出ている俳優を好きになったり、魅力的な人に心が惹かれたりすることは自然なことです。この「好き」という感情は、自分の気持ちの変化として許してあげて、「しゃーないわ」と受け止めることが大切です。
「好き」と「見返り」の境界線
この感情の揺れを「浮気」にしないためには、境界線を明確にすることが重要です。「好きになる」ことは自由ですが、その相手に「好きになってほしい」という見返りを求めたら、それはもう浮気に近い行為となります。
例えば、「見ているだけでドキドキする」という、相手に何も求めていない状態であれば問題ありません。しかし、「話しかけてくれないかな」「ご飯に一度くらい行けないかな」と自分に対するアクションを求め始めたら、それは自分の欲求をコントロールできていない状態といえます。
自分の欲求をコントロールさえできれば、片思いはし放題であり、むしろ恋人以外の「好き」があったほうが、恋人への気持ちが重くなりすぎず、関係をいい温度で好きでい続けられる可能性もあります。
外見や条件への囚われ
他の男性に目移りしやすい人は、男性の顔や体型といった外見や、「エリート」などの分かりやすい肩書きに惹かれる傾向が強いという意見もあります。相談者自身が彼氏に「自分を良くみせる飾り」を求めていると感じる場合、内面よりも外見やステータスから判断してしまい、内面を見ることを疎かにしているのかもしれません。
彼との関係を見直すタイミング
心が揺れたことをきっかけに、今の彼との関係を冷静に見つめ直すことが大切です。特に、以下のサインが見られたら、関係を見直すタイミングを迎えていると考えられます。
1. 相手の欠点が無視できなくなる
彼に夢中になっているときは、欠点も愛おしく思えるものですが、愛が冷めて頭が冷静になると、彼の些細な欠点や発言が無視できなくなり、イライラや心のモヤモヤが長く続くようになります。以前は許せていたのに、今は許せないと感じたら、情熱が冷めてきているサインかもしれません。
2. デートや会うことが面倒くさい
大好きな人とのデートはワクワクするものですが、彼への愛や思いやりを忘れていると、デートを「面倒くさい」「さっさと終わらせたい」と感じるようになります。自分の家に来てもらったり、近場だけで済ませようとしたりするなど、イチャイチャする時間や二人の時間を楽しめなくなった場合、関係を見直す時期かもしれません。
3. 寂しさを感じなくなった
以前は彼と会えない日が続くと寂しさを感じていたのに、今は全く寂しさを感じない場合も要注意です。彼への愛情や情熱が冷めている可能性があるため、今後もお付き合いを続けるべきか考えるタイミングです。
4. 彼に本音を言えなくなった
本音を伝えるのが面倒になったり、素直な自己主張をしたら彼が嫌がると思って言わなくなったりするなど、彼に本音を言えなくなっている状況は、危険な関係の可能性が高いです。人は本音を自由に言えない相手との生活に息苦しさを感じるため、この状況が続くと関係が長く続かない可能性があります。
5. 自分の将来観との葛藤がある
結婚を意識する時期に、「自由を失いたくない」「まだ挑戦したいことがある」といった、成長したい気持ちと結婚生活を両立できるのかという葛藤を抱くことは自然です。これは結婚を望んでいないからではなく、自分の将来像を真剣に見つめている証拠であり、結婚が自分の夢や挑戦を後押ししてくれるかどうかを見極めることが大切です。
自分の本音を優しく見極める方法
他の人への感情の揺れをきっかけに、自分の本音を優しく見つめ直すことが、後悔のない選択につながります。
1. 自分の価値観を具体的に書き出す
まず、自分がどんな結婚生活を望んでいるのか、理想の家庭像、働き方、お金の使い方、子育て観など、頭の中の考えを紙に書き出してみましょう。箇条書きで構わないので、自分が本当に優先したいことと、妥協できることを整理することで、自分が大切にしたい価値観が見えてきます。
2. 感情を罪悪感で押し込めない
心が揺れた事実に対して、「ダメだダメだ、私って最低」と自分を責める気持ちで感情にフタをすればするほど、その思いは溢れてしまいます。極端な罪悪感から現在の彼と別れることは、後でもったいなかったと感じる可能性があります。揺れる感情を否定せず、「あ、私彼氏以外も好きになることあるんや」と一旦許してあげることが、冷静な判断につながります。
3. 相手の内面を深く見つめ直す
目移りする時こそ、男性の外見だけでなく「この人の〇〇なところが本当に好き」と、内面の良いところを見つける努力をすることが有効かもしれません。今の彼がパートナーとして最高の人であっても、外見や「飾り」として不合格と感じているなら、内面を見るのを疎かにしていないか見直す必要があります。
4. 彼と本音で将来像を話し合う
迷いを整理するためには、将来に対する不安や希望を彼と率直に共有することが不可欠です。結婚後の暮らし方、仕事との両立、子育ての考え方、親との関係、経済的な不安など、具体的な希望や懸念を話し合い、お互いの譲れない点と歩み寄れる点を見つけましょう。本音の対話を通じて妥協点を見つけることは、結婚生活を一緒に築いていく上での大切な練習になります。
5. 第三者の意見を聞いて客観的に整理する
自分で答えが出せないときは、信頼できる家族や友人に気持ちを打ち明けたり、中立的な立場の専門家(婚活カウンセラーなど)に相談したりすることも有効です。人に話す過程で、自分では気づかなかった本音や優先順位が見えてくることがあります。また、情が残っている場合は、それを「感謝の証」として受け止め直すことで、過去を整理し、未来に目を向ける一歩を踏み出せる可能性もあります。
まとめ
彼氏がいるのに他の人に心が揺れるのは、刺激を求める人間の本能であり、恋愛が「無常」であることを示す自然な感情の動きです。この感情の揺れを罪悪感で覆い隠すのではなく、まずは「好き」が胸の高鳴りである恋心なのか、それとも「安心感や信頼」から生まれる情なのかを冷静に見極めましょう。
迷いを解決するためには、今の彼との関係を見直し、彼への愛情がときめきから深い信頼へと成熟した「家族としての愛」に変わっているかを確認することが大切です。そして、自分の将来の価値観を明確にし、彼と本音で話し合い、今の関係を続けるか、それとも新しい道を選ぶかを慎重に見極めることが後悔しない決断につながります。感情の揺れは、あなたが未来を真剣に考えている証拠です。自分の本音と向き合い、納得できる次の一歩を踏み出してください。

