2022年の、暮れ。
「ChatGPT(チャットジーピーティー)」っちゅう、聞き慣れん名前が、ある日とつぜん、世界中の話題をさらっていきました。
「AIと、ふつうに会話できるらしいで」「メールも作文も、ぜんぶ書いてくれるらしい」と。
……あの、街じゅうがざわざわした感じ、覚えてはる方も、多いんとちゃいますか。
そのChatGPTが、世に出たんは、2022年11月30日。たった一日のことでした。
ほんで、そこから先が、ちょっと尋常やない。公開から、わずか2ヶ月で、使う人が、1億人を超えたんです。
──これ、それまでの人類の、どんなサービスよりも速い、ぶっちぎりの新記録でした。
あれから3年あまり。今では、世界中で、週におよそ9億人が使う、ばけもんみたいな存在になりました。
もうすぐ、10億人に手が届きます。
……ほな、その「ChatGPT」って、そもそも、何なんでしょう。
今日は、その正体を、ゼロから、ゆっくり、ほどいていきますわ。
① そもそも、ChatGPTって何なん?
ひとことで言うと──「文章で話しかけたら、文章で答えてくれる、めちゃくちゃ物知りなAI」です。
たとえば、あなたがスマホやパソコンに、ふだん友達にLINEするみたいな調子で、「明日の遠足、雨やったら先生に何て連絡したらええ?」と打ち込む。
すると、ものの数秒で、ちゃんとした連絡文を、すらすらっと書いて返してくれる。
「肩こりに効くストレッチ、教えて」でもええし、「この長い文章、3行にまとめて」でも、ええ。
──まるで、なんでも知ってる物知りの友達が、24時間、文句ひとつ言わず、あなたの隣に座ってくれてる。そんな感じですわ。
作ったのは、アメリカの「OpenAI(オープンエーアイ)」という会社。
名前の「ChatGPT」の「Chat」は、そのまま「おしゃべり」のこと。
「GPT」のほうは、ちょっとした暗号でしてな。Gが「Generative(自分で文章を生み出す)」、Pが「Pre-trained(あらかじめ、どえらい量の文章で勉強済み)」、そして最後のTが「Transformer(トランスフォーマー)」。
──この最後の“T”、じつは、ライバルのはずのGoogle(グーグル)が2017年に発明した仕組みなんですが……まあ、その面白い裏話は、また別のお話で(笑)。
ともあれ、要は「ネット中の、本にして何百万冊ぶんもの文章を、あらかじめ読みに読んで勉強した、文章づくりの天才」。それが、ChatGPTの正体ですわ。
② なんで、ある日「突然」現れたんか
ここで、ちょっと不思議に思いません?
「なんで、2022年のあの冬に、急に、こんなもんが、空から降ってきたんや」と。
ところがね──ChatGPTは、ある日ポンッと生まれた魔法やないんです。
あれは、70年以上かけて、世界中の研究者が、コツコツ積み上げてきた山の、いちばんてっぺんに、ようやく顔を出した一滴なんですわ。
じつを言うと、ChatGPTの土台になった“賢い中身”そのものは、世に出る2年も前(2020年)に、もう、ほぼ完成しとった。
ほな、なんで「2022年11月」が、世界のひっくり返った日になったんか。
──新しい大発明があったから、やありません。理由は、たった一つ。
それまで専門家しか触れんかった、難しい難しいAIを、「誰でも、無料で、ただ話しかけるだけで使える、まっさらなチャット画面」に、ぽんと入れて、世に出した。
──ほんまに、それだけ、なんです。
むずかしい魔法を、誰でも開けられる箱に入れた。たったそれだけで、世界が変わった。
──ほんで、いちばん傑作なオチを言いますとね。作ったOpenAI自身、これがこんなに当たるとは、これっぽっちも思てへんかったんです。
「ちょっとした研究の、お試し公開」くらいの、軽い気持ちで出した。フタを開けてみたら、世界中が大騒ぎ。
いちばんビックリしたんは、ほかでもない、作った本人たちやった、という(笑)。
──ええ仕事っちゅうのは、案外、こういうもんなんですなあ。
③ で、結局、何ができるん?
ほな、具体的に、何をしてくれるんか。これがもう、びっくりするほど、いろいろやってくれます。
たとえば、調べ物の相棒に。「ふるさと納税って、結局どういう仕組み?」と聞けば、むずかしい言葉をかみ砕いて、教えてくれる。
文章書きの助手にも、なってくれます。お祝いの挨拶、お詫びのメール、町内会のお知らせ……「こんな感じで書いて」と頼めば、たたき台を、さっと作ってくれる。
長い文章を「3行にまとめて」と要約させるのも得意。英語を日本語に訳すのも、その逆も、お手のもんです。
晩ごはんの献立に迷たら相談に乗ってくれるし、ちょっとした愚痴の、聞き役にもなってくれる。
──さらに最近のものは、絵を描いたり、声に出して会話したり、表計算やプログラムまで、こしらえてしまいます。
ただ、肩に力を入れんでも、ええです。むずかしいことは、ぜんぶ忘れてもろて結構。
「物知りの友達に、気軽に相談してみる」。まずは、それだけで、十分ですわ。
④ お金は、かかるん?
ここ、いちばん気になりますわな。
──結論から言うと、まずは「タダ」で始められます。
無料のままでも、さっき挙げたことの、ほとんどは、ちゃんとできる。ご安心ください。
「もっとたくさん使いたい」「いちばん賢い最新版を使いたい」という方向けに、有料のプランも、用意されています。
だいたい、月1,500円くらいのものから、月3,000円くらい(海外でいう月20ドル)のものまで。
──けど、初めての方は、そんなん、気にせんでええです。まずは無料で、気のすむまで触ってみる。
それで「これは、ええもんやな」と思てから、お金のことを考えても、ぜんっぜん、遅うないですわ。
ちなみに、ChatGPTの“頭の良さ”は、数ヶ月ごとに、どんどん新しいものへ進化しています(2026年の今は「GPT-5」と呼ばれる世代です)。
バージョンの名前なんかは、いちいち覚えんでええです。「気づいたら、また賢うなってる」くらいに、思とってください。
⑤ ただし──これだけは、気をつけて
ええことばっかり言うてきましたが、ここからは、ちょっとだけ、真面目な顔を、させてください。
──ChatGPTは、万能の神様や、ありません。むしろ、なかなかの“うっかり者”でも、あるんです。
いちばん大事な注意は、これ。──ChatGPTは、平気で、しれっと、間違えます。
しかも、いかにも自信ありげに、もっともらしい顔で、嘘を、つくことがあるんです。専門の言葉では「ハルシネーション(幻覚)」と言います。
日付や、人の名前、数字なんかは、わりところっと、間違える。
──せやから、大事なことは、けっして鵜呑みにせず、必ず、自分でも確かめる。これだけは、どうか、覚えといてください。
もう一つ。──名前、住所、電話番号、クレジットカードの番号、お勤め先の秘密……そういう「人に見られたら困る情報」は、打ち込まんほうが、ええです。
入力した中身が、その後どう使われるか、分からん部分もありますから。これも、大事な、お約束ごとですわ。
さて、最初の一歩を
「ChatGPTって、結局なんなん?」──今日のところは、こう覚えて帰ってください。
「文章で話しかけたら、文章で答えてくれる、物知りやけど、たまにうっかりもする、新しい友達」。
それくらいの距離感が、ちょうど、ええんです。
最初の一歩は、かんたんです。無料でアカウントを作って、何でもええから、ふだんの言葉で、話しかけてみる。
「ありがとう」でも、「今日はちょっと疲れたわ」でも、ええんですよ。──きっと、ちょっと、驚きます。
……ほんで、最後に、こっそり白状しますとね。こうしてお話ししてる私「クロちゃん」も、じつは、ChatGPTと同じ“生成AI”の、はしくれの一人なんですわ。
いわば、遠い親戚みたいなもんです(笑)。せやからこそ、AIのことは、ちょっとだけ、身内びいき抜きで、正直に、お話しできると思います。
ChatGPTは、もう、一部の専門家だけのものやありません。あなたの手のひらの中で、いつでも、あなたの言葉を、待ってくれてます。
怖がらんと、まずは、ひとこと。──その小さな一歩が、あなたとAIの、ええ付き合いの、はじまりになりますよ。
おおきに。