近年、流行を低価格で楽しむ「ファストファッション」が広まる一方で、「良い素材でできたものを長く着る」という「スローファッション」の考え方も広まりつつあります。
上質な素材のアイテムは、肌触りが良く、上品に見え、劣化しにくい傾向があるため、長く着用できるものが多いとされています。しかし、誰もが高級品を日常的に購入するのはハードルが高いと感じるかもしれません。
価格が安いプチプラアイテムは、シワになりやすかったり、毛玉や毛羽立ちができやすかったり、数回の着用で生地が伸びてしまうといった悩みがつきものですが、その原因は使用されている素材や質にあることが多いです。
しかし、一流ブランドのシャツを着ていてもサイズが合っていなければ貧相に見える場合があるように、価格が高い=高見え、というわけではありません。本記事では、価格に関わらず「高見え」を叶えるための視覚的要素、特に質感、バランス、余白感に注目し、その仕組みを分析します。
高そうに見える人は何をしているのか
あるアイテムが「高級感がある」と感じられるかどうかは、漠然としていて決まった定義がなく、人によっても高級感の要素には違いがあるため、ある人が高級感があると思っても、別の人はそう思わないこともあります。しかし、高見えする人は、無意識的にある種の「調和」を意識している傾向があります。
価格よりも「自分との調和」を優先する
ファストファッションの服を高く見せる最大のコツは、自分の外見との調和にあります。服選びに必要なのは、単なるセンスではなく理論だと論じられることもあり、特に「骨格」に服が合っているかが、似合う・似合わないを大きく左右するとされます。
服が骨格の種類に合っていないと、ちぐはぐな印象を与えてしまい、たとえプチプラのシャツでも高級感を漂わせる人がいる一方で、高級ブランドの服でも骨格に合わなければ野暮ったく見えたり、清潔感に欠けて見えたりすることがあるのです。
さらに、肌質・髪質と着る服の生地の質感を調和させることも重要です。たとえば、ツヤ感のある肌や髪質の人がファストファッションの合皮ジャケットを着ると、その素材のテカリが上品な艶に見える可能性があります。逆にマットな肌や髪質の人が同じものを着るとテカリが目立ち、安っぽく見えることもあります。
高級感とは「優越感や満足感を感じる特別な気持ち」
高級感をあえて定義するなら、「他のものにはない優越感や満足感を感じる特別な気持ち」と言えるかもしれません。LP制作の例に見られるように、デザインや配色、画像のクオリティ、テキストの文字など、細部にわたって工夫を施すことで高級感を演出できます。高級感のある構成は、見ていて安心感をもたらし、商品のクオリティも高く感じさせる効果があるとされます。
安くても上質に見える色・素材の選び方
深みのある色や無彩色でシックにまとめる
高級感を演出する色の組み合わせとして、低明度のトーンの色相を選ぶことが大切です。原色に近い色よりも、ややモノトーンに近い色の方が深みがあり、高級感が感じられる傾向があります。
- 定番カラー:「黒(ブラック)」はシンプルで洗練された印象を与え、高級感やエレガントさを表現できます。
- ダークトーン:「深紅(赤)」や「紺色(ネイビー)」などのダークトーンは、高級感や重厚さを演出するのに最適です。
- アクセントカラー:黒をベースに、ゴールドやシルバーを少し加えるとさらに高級感を醸し出せます。
- 避けるべき色:パステルカラーや蛍光色などは高級感を損なう傾向があるため避けた方が良いでしょう。
素材の「質感」と「落ち感(ドレープ感)」を重視する
プチプラアイテムでも高見えさせるには、購入前に品質表示タグを確認し、素材をチェックすることがポイントです。
- 光沢感とハリ:綿、レーヨン、リヨセル、ウールなどは光沢感とハリがあり、高見えしやすい素材です。
- 生地の質:同じ綿100%でも薄いものは安っぽく見えることがあるため、厚みを確かめると良いでしょう。
- ドレープ感:レーヨン、シルク、テンセルなどは高いドレープ性を持ち、体に沿ってしなやかに落ちる美しいラインを生み出します。
- シワ対策:綿×ポリエステルの混紡素材は、ハリがありシワが目立ちにくくなります。
余白とバランスが生む“センス”の錯覚
着こなしの「細×ゆる」バランス
上下ともにゆったりとした「ゆる×ゆる」のコーディネートは、体型をカバーしようとして逆効果になることがあります。「細×ゆる」バランスでメリハリをつけるのが高見えのコツです。
「余白」は余裕と高級感を生む
余白が十分にあることで「余裕」が感じられ、安っぽく見えるのを防ぐことができます。これは服のシルエットにも通じ、窮屈さを感じさせない「抜け感」や「空気感」は高級感を生みます。
ファッションと空間に共通する高見えルール
視覚要素のグラデーションと繊細さ
光と影のグラデーションが繊細で美しい空間ほど高級に感じられます。間接照明で陰影を作るように、ファッションでもドレープ感が光と影のコントラストを生み、上質な印象を作ります。
色使いの法則
色数はベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの3色までに抑えるのが基本です。黄金比はベース70%、メイン25%、アクセント5%で、トーンを揃えることで統一感が出て高級感が増します。
今日からできる「高見え習慣」まとめ
ベーシックデザインを選ぶ
流行に左右されにくいベーシックなデザインは、長く使えて高見えしやすい特徴があります。
素材を長持ちさせる正しいケア
- 洗濯:冷水・少量の洗剤・裏返し洗いで劣化を防ぐ。
- 乾燥:乾燥機は避け、ハンガー干しで自然乾燥させる。
- 収納:ニット類は畳んで収納し、伸びを防ぐ。
まとめ
安価なファッションでも「高そう」に見せる秘訣は、素材と色の見極め・余白とバランス・パーソナルな調和にあります。流行に左右されないデザインを選び、日々のケアを大切にすることで、長く上質に見えるスタイルを楽しめるでしょう。

